中華民国法律
特許法 (第1条〜第20条)
第1条
本法は、発明、実用新案及び意匠の創作を奨励、保護、利用し、産業の発展を促進するために制定される。
第2条
本法で特許とは、次に掲げるものをいう。
1. 発明特許
2. 実用新案登録
3. 意匠登録
第3条
本法の主務機関は経済部とする。
特許業務は、経済部が特許専門機関を指定して処理するものとする。
第4条
外国人の所属する国と中華民国が特許保護の国際条約に共同参加していないとき、あるいは相互に特許保護の条約、協定がない、または団体、機構が互いに主務機関の許可を経た特許保護の協議を定めていない、あるいは中華民国国民の特許出願を受理しない場合は、その特許出願は受理しないこととすることができる。
第5条
特許出願権とは、本法に基づき特許出願できる権利をいう。
特許出願権者とは、本法で別途規定がある場合、又は契約で別途約定がある場合を除き、発明者、実用新案考案者、意匠創作者又はその譲受人や相続人をいう。
第6条
特許出願権及び特許権は、いずれも譲渡または相続できる。
特許出願権は、質権の目的とすることができない。
特許権を目的として質権を設定するときは、契約に別途約定がある場合を除いて、質権者は当該特許権を実施できない。
第7条
被雇用者が職務上完成させた発明、実用新案、または意匠の出願権及び特許権は、雇用者に帰属し、雇用者は被雇用者に適切な報酬を支払わなくてはならない。但し契約に別途約定がある場合は、その約定に従う。
前項にいわゆる職務上の発明、実用新案又は意匠とは、被雇用者が雇用関係における仕事の中で完成させた発明、実用新案、意匠をいう。
一方が出資して他人を招聘し、研究開発に従事させた場合、その特許出願権及び特許権の帰属は、双方の契約の約定による。契約に約定がない場合は、発明者又は創作者に帰属する。但し、出資者はその発明、実用新案又は意匠を実施することができる。
第1項、前項の規定により、特許出願権及び特許権が雇用者又は出資者に帰属するときは、発明者又は創作者は氏名表示権を享有する。
第8条
被雇用者が職務外で完成させた発明、実用新案または意匠の出願権及び特許権は、被雇用者に帰属する。但し、その発明、実用新案または意匠が雇用者の資源または経験を利用したものである場合は、雇用者は合理的な報酬を支払った後、当該事業においてその発明、実用新案または意匠を実施することができる。
被雇用者が職務外で完成させた発明、実用新案または意匠については、直ちに書面によって雇用者に通知しなければならず、必要な場合はその創作の過程を伝えなければならない。
雇用者は、前項の書面通知到達後6ヶ月以内に、被雇用者に対し反対の表示をしなかったときは、当該発明、実用新案または意匠が職務上の発明、実用新案または意匠であると主張できない。
第9条
前条の雇用者と被雇用者の間で定められた契約が、被雇用者にその発明、実用新案または意匠の権益を享受できなくさせるものであるときは、無効とする。
第10条
雇用者または被雇用者が、第7条及び第8条の定める権利の帰属について争いがあり、協議が合意に至った場合は、証明書類を添えて、特許専門機関へ権利者の名義変更を申請することができる。特許専門機関が必要と認めるときには、その他の法令によって取得した調停、仲裁または判決文書を添えるよう、当事者に通知することができる。
第11条
出願人は特許出願及び特許関連事項の手続きにあたっては、代理人に委任して手続きすることができる。
中華民国国内に住所又は営業所を有しない場合、特許出願及び特許関連事項の手続きにあたっては、代理人に委任してこれを処理しなければならない。
代理人は法令に別途規定がある場合を除き、弁理士に限る。
弁理士の資格及び管理については、別途法律に定める。
第12条
特許出願権が共有であるときは、共有者全員により出願を提出しなければならない。
二人以上が共同で特許出願以外の特許関連手続を行うときは、出願の撤回或いは放棄、申請分割、出願変更または本法律に別途規定のある場合について、署名を共同でしなければならないほか、その他の手続については各人がそれぞれ単独で行うことができる。ただし約定に代表者を定める場合はその約定に従う。
前二項の共同署名をしなければならない場合は、その内の一人を受取人に指定しなければならない。受取人を指定していない場合、特許専門機関は第1順序の出願人を受取人とし、送達事項をその他の者にも通知しなければならない。
第13条
特許出願権が共有である場合、各共有者は、共有者全員の同意を得なければ、その持分を譲渡又は放棄することができない。
特許出願権の共有者は、その他の共有者の同意を得なければ、その持分を他人に譲渡することができない。
特許出願権の共有者がその持分を放棄する場合、該部分はその他の共有者に帰属する。
第14条
特許出願権を相続した者が、出願時に継承者の名義で特許出願していなかったとき、あるいは出願後に特許専門機関に名義変更を申請していないときは、これにより第三者に対抗することはできない。
前項の変更申請をする場合は、譲渡あるいは相続にかかわらず、いずれも証明書類を添付しなければならない。
第15条
特許専門機関の職員及び特許審査官は、在職期間中に、相続の場合を除いて特許を出願してはならず、及び直接または間接的に特許に関するいかなる権益も受けてはならない。
特許専門機関の職員及び特許審査員は、その職務上知り得た又は所持した特許に係る発明、実用新案又は意匠、或いは出願人の事業上の秘密に対して守秘義務を負うものとし、違反がある場合は、関連する法律責任を負わなければならない。
特許審査員の資格は、法律で定める。
第16条
特許審査員が次の各号のいずれかに該当する場合、自ら特許審査員を辞退しなければならない。
1. 本人又はその配偶者が、該特許出願の出願人、特許権者、無効審判請求人、代理人、代理人の共同事業者、又は代理人と雇用関係にある者である場合。
2. 現在、該特許案の出願人、特許権者、無効審判請求人又は代理人の四親等内の血族、若しくは三親等内の姻族である場合。
3. 本人又はその配偶者が、該特許出願について特許出願人、特許権者、無効審判請求人と共同権利者、共同義務者又は償還義務者の関係にある場合。
4. 該特許出願の出願人、特許権者、無効審判請求人の法定代理人、家長、家族である場合、又はかつてこれらの関係にあった場合。
5. 該特許出願の出願人、特許権者、無効審判請求人の訴訟代理人又は補佐人である場合、又はかつてこれらの関係にあった場合。
6. 該特許出願の証人、鑑定人、異議申立人又は無効審判請求人である場合、又はかつてこれらの関係にあった場合。
特許審査員が除斥されるべきであるにもかかわらず、除斥されなかった場合、特許専門機関は、職権又は請求により、その処分を取り消した後、その他適切な処分をすることができる。
第17条
出願人が特許関連の申請及びその他の手続をするにあたって、法定又は指定の期間を遅延した場合、本法で別途規定がある場合を除き、その手続きを受理しないものとする。但し、指定期間を徒過したが、処分前に補正したときは、その手続きを受理しなければならない。
出願人が天災又は自己に責任を帰することのできない事由のために法定期限を徒過したときは、その原因消滅した日から30日以内に、書面によって特許専門機関に理由を陳述し、原状回復を申請することができる。但し、法定期間をすでに1年以上徒過しているときは、この限りではない。
原状回復を請求するときは、同時に期間内になすべき手続きを補正しなければならない。
前2 項の規定は、第29 条第4 項、第52 条第4 項、第70 条第2 項、第120 条が準用する第29 条第4 項、第120 条が準用する第52 条第4 項、第120 条が準用する第70 条第2 項、第142 条第1 項が準用する第29条第4 項、第142 条第1 項が準用する第52 条第4 項、第142 条第1 項が準用する第70 条第2 項に規定される期間を遅延する場合には、適用しない。
第18条
査定書又はその他の書類を送達することができない場合は、特許公報においてこれを公告しなければならず、公報掲載から30 日が経過したときは、すでに送達されたものと見なす。
第19条
特許に係る出願及びその他の手続は、電子方式で行うことができる。その実施方法については、主務機関がこれを定める。
第20条
本法の期間に関する計算において、その開始日は含まないものとする。
第52条第3項、第114条第及び第135条で規定する特許権の期限は、出願日当日より起算する。