中華民国法律

←戻る
特許法 (第21条〜第40条)

第21条
発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作をいう。

第22条
産業上利用することのできる発明で、次のいずれかに該当しない場合は、本法により出願し特許を受けることができる。
 1. 出願前に既に刊行物に記載されたもの。
 2. 出願前に既に公然実施されたもの。
 3. 出願前に既に公然知られたもの。
発明が前項各号の事由に該当しなくても、それが所属する技術分野で通常の知識を有する者が出願前の従来技術に基づいて容易に完成できる場合、依然として発明特許を受けることができない。
出願人が次のいずれかの事由を有し、並びにその事実の発生後6 ヶ月以内に出願した場合、該事実は第1 項の各号又は前項の特許を受けることのできない事由に属さないものとする。
 1. 実験で公開された場合。  2. 刊行物で発表された場合。  3. 政府が主催又は許可した展覧会で展示された場合。  4. 出願人の意図に反して漏洩した場合。 出願人が前項第1 号から第3 号までの事由を主張する場合、出願時にその事実及の事実が生じた年月日を明記し、並びに特許専門機関が指定する期間内において証明文書を提出しなければならない。

第23条
特許を出願した発明が、その出願より先に出願され、かつその出願後はじめて公開又は公告された発明特許または実用新案登録出願に添付された明細書、請求範囲又は図面に記載された内容と同一である場合、発明特許を受けることができない。但し、該出願人と先に出願された発明特許または実用新案登録出願の出願人が同一である場合は、この限りでない。

第24条
次の各号のいずれかに該当するものは、発明特許を与えることができない。
 1. 動物、植物、及び動物や植物を生み出す主な生物学的方法。但し、微生物学の生産方法はこの限りでない。
 2. 人体又は動物の病気の診断、治療又は外科手術の方法。
 3. 公序良俗又は善良な風俗を害するもの。

第25条
発明特許出願は、特許出願権者が願書、明細書、特許請求の範囲、要約及び必要な図面を備えて、特許専門機関にこれを提出する。
発明特許出願は、願書、明細書、特許請求の範囲及び必要な図面が全て揃った日を出願日とする。
明細書、特許請求の範囲及び必要な図面が出願時に中国語で提出されずに外国語で提出され、かつ特許専門機関が指定する期間内に中国語による翻訳文が補正された場合、該外国語書面が提出された日を出願日とする。
前項の指定された期間内に中国語の翻訳文を補正しなかった場合、その出願を受理しない。但し、処分前に補正した場合、補正した日を出願日とし、外国語書面は提出されていないものとみなす。

第26条
明細書は、該発明が所属する技術分野の中で通常の知識を有する者が、その内容を理解し、それに基づいて実施することができるように、明確かつ十分に開示しなければならない。
請求の範囲には、特許を受けようとする発明について定義しなければならない。特許請求の範囲は1項 以上の請求項で、各請求項は明確、簡潔な方式で記載しなければならず、かつ必ず明細書で支持しなければならない。
要約には、開示する発明内容の概要を明記しなければならない。該要約は、開示が十分であるか、及び特許を出願する発明が特許要件に合致しているかどうかの決定に用いることはできない。
明細書、特許請求の範囲、要約及び図面の開示方式は、本法施行細則においてこれを定める。

第27条
生物材料又は生物材料を利用する発明特許を出願しようとする場合、出願人は遅くとも出願日までに該生物材料を特許専門機関が指定する国内の寄託機関に寄託しなければならない。但し、該生物材料が、その所属する技術分野で通常の知識を有する者により容易に取得できる場合、寄託する必要はない。
出願人は出願日から4ヶ月以内に寄託証明書を提出しなければならず、並びに寄託機関、寄託日及び寄託番号を明記しなければならない。期間が満了しても該証明書を提出しなかった場合、寄託しなかったものとみなす。
前項の期間は、第28 条の規定に基づき優先権を主張する場合、最も早い優先日から16 ヶ月以内とする。
出願前に既に特許専門機関が認可した外国の寄託機関に寄託しており、並びに第2 項又は前項で規定する期間内において、特許専門機関が指定する国内の寄託機関に寄託した証明書類及び外国の寄託機関が発行した証明書類を提出する場合には、第1 項の遅くとも出願日までに国内の寄託機関に寄託しなければならないとする制限を受けないものとする。
出願人は中華民国と寄託効力を相互に承認している外国が指定するその国内の寄託機関に寄託し、並びに第2 項又は第3 項に規定する期間内に、該寄託機関が発行する証明書類を提出する場合には、国内で寄託しなければならないとする制限を受けないものとする。
第1 項の生物材料を寄託する受理要件、種類、形態、数量、費用及びその他の寄託執行に関わる方法については、主務機関が定める。

第28条
出願人が、同一の発明について、中華民国と相互に優先権を承認する国またはWTO加盟国において最初に法に基づく特許出願をし、並びに最初の出願日から12 ヶ月以内に、中華民国に特許出願をする場合、優先権を主張することができる。
出願人が1 出願において2 以上の優先権を主張する場合、前項の期間の計算は最も早い優先日を基準とする。 外国の出願人がWTO加盟国の国民ではなく、かつその所属する国と中華民国とが相互に優先権を承認していないとき、WTO加盟国又は互恵関係にある国の領域内に住所又は営業所を有している場合は、第1 項の規定により優先権を主張することができる。
優先権を主張する場合、その特許要件の審査は優先日を基準とする。

第29条
前条の規定により優先権を主張する場合は、特許出願と同時に次の事項を声明しなければならない。
 1. 最初に出願した出願日。
 2. 該出願を受理した国又はWTO加盟国。
 3. 最初に出願した出願番号。
出願人は、最も早い出願日から16 ヶ月以内に、前項の国又はWTO加盟国が受理を証明した出願書類を提出しなければならない。
第1 項第1 号、第2 号又は前項の規定に違反する場合、優先権を主張しなかったものとみなす。
出願人が故意ではなく、特許出願と同時に優先権を主張しなかった場合、又は前項の規定に基づき主張しなかったものと見なされた場合、最も早い優先日から16 ヶ月以内に優先権主張の回復を申請することができ、並びに申請費用を納付し、第1 項及び第2 項で規定する事項を補完することができる。

第30条
出願人が中華民国において先に出願した発明特許又は実用新案に基づいて特許を出願する場合、先願出願時の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明又は実用新案に基づいて優先権を主張することができる。但し、次のいずれかに該当する場合には、優先権を主張することができない。
 1. 先願の出願日から既に12 ヶ月を経過しているとき。
 2. 先願に記載された発明又は実用新案において第28 条又は本条の規定に基づき既に優先権を主張しているとき。
 3. 先願が第34 条第1 項又は第107 条第1 項規定の分割出願、又は第108 条第1 項規定の変更出願であるとき。
 4. 先願が発明であり、既に特許公告された又は特許拒絶査定が確定しているとき。
 5. 先願が実用新案であり、既に登録公告された又は登録を与えないことが確定しているとき。
 6. 先願が既に取り下げられた又は受理されなかったとき。
前項の先願は、その出願日から15 ヶ月を経過したときに、取り下げられたものとみなす。
先願の出願日から15 ヶ月を経過した場合、優先権の主張を取り下げることができない。
第1項に基づき優先権を主張した後願が、先願の出願日から15ヶ月以内に取り下げられた場合、同時に優先権の主張も取り下げられたものとみなす。
出願人が1 出願につき2 以上の優先権を主張する場合、その優先権期間の計算は、最も早い優先日を基準とする。 優先権を主張する場合、その特許要件の審査は優先日を基準とする。
第1項に基づき優先権を主張する場合、特許申請と同時に先願の申請日及び申請番号を声明しなければならない。声明をしていない場合は優先権を主張していないものとみなす。

第31条
同一の発明について、2 以上の特許出願があった場合、最も早く出願した者のみが特許を受けることができる。但し、後から出願した者が主張する優先日が先願の出願日より早い場合は、この限りでない。
前項の出願日、優先日が同日である場合は、これを協議により定めるよう出願人に通知しなければならない。協議が成立しない場合は、いずれも特許を与えないものとする。その出願人が同一人である場合、期限を指定し、択一して出願するよう通知しなければならない。期限内に択一して出願しない場合は、いずれも特許を与えないものとする。
各出願人が協議する場合、特許専門機関は適当な期間を指定して該協議結果を報告するよう出願人に通知しなければならない。期限が満了しても報告がなかった場合、協議が成立しなかったものとみなす。
前3 項の規定は、第32 条規定の事由を有する場合を除き、同一の創作がそれぞれ発明特許及び実用新案登録を出願する場合に準用する。同一の創作において別々に発明特許及び実用新案の出願をする場合、第32条で規定する事由を除き、前3項の規定を準用する。

第32条
同一人が同一の創作につき、同日にそれぞれ発明特許及び実用新案を出願し、その発明特許が査定される前に、既に実用新案権を取得している場合、特許専門機関は期限を指定して択一するよう出願人に通知しなければならない。期限が満了しても択一しない場合、発明特許は与えないものとする。
出願人が前項の規定に基づき発明特許を選択した場合、その実用新案権は、初めから存在しなかったものとみなす。
発明特許が査定される前に、実用新案権が既に消滅している、又は取消が確定している場合は、特許を与えないものとする。

第33条
発明特許出願は、1 つの発明ごとに出願を提出しなければならない。
2 以上の発明が、1 つの広義の発明概念に属する場合、1 出願において出願を提出することができる。

第34条
特許を出願した発明が、実質上2 以上の発明である場合、特許専門機関の通知、或いは出願人の請求により、分割して出願することができる。
分割出願は、次のいずれかの期間内に行わなければならない。
 1. 原出願の再審査の査定前。
 2. 原出願の特許査定書が送達されてから30 日以内。但し、再審査での査定の場合は分割することができない。
分割後の出願も、原出願の出願日を出願日とする。優先権がある場合、依然として優先権を主張することができる。
分割後の出願は、原出願を出願した時の明細書、特許請求の範囲又は図面に開示されている範囲を超えることはできない。
第2 項第1 号の規定に基づき、分割後の出願は、原出願で既に完了した手続で審査を続行しなければならない。
第2 項第2 号の規定に基づき、分割後の出願は、原出願が特許査定される前の審査手続が続行され、原出願は特許査定時の特許請求範囲及び図面で公告される。

第35条
発明特許権は、特許出願権者又は特許出願権共有者が、該発明特許の公告日から2 年以内に、第71 条第1 項第3 号の規定により無効審判請求を提起し、並びに、無効審判で取消が確定してから2 ヶ月以内に同一の発明で特許を出願した場合、取消が確定した発明特許権の出願日をその出願日とする。
前項の規定に基づき、出願案件については、再び公告はしない。

第36条
特許専門機関は、発明特許出願の実体審査について、特許審査員を指定して、これを審査させなければならない。

第37条
特許専門機関が発明特許出願書類を受理した後、審査を経て、規定の手続きに合致しない箇所がなく、かつ公開を許可しないという事由がないと認めた場合、出願日から18 ヶ月後に該出願を公開しなければならない。
特許専門機関は、出願人の請求により、その出願を早期公開することができる。
発明特許の出願が、次のいずれかに該当する場合は公開しないものとする。
 1. 出願日から15ヶ月以内に取り下げられた場合。
 2. 国防上の機密又はその他の国家安全に関わる機密に及ぶ場合。
 3. 公序良俗を害する場合。
第1 項及び前項の期間の計算について、優先権を主張する場合は優先日を基準とし、2 以上の優先権を主張する場合は最も早い優先日を基準とする。

第38条
発明特許の出願日から3 年以内に、何人も特許専門機関に対し実体審査を請求することができる。
第34 条第1 項の規定による分割出願、又は第108 条第1 項の規定による発明特許への出願変更について、前項の期間を過ぎた場合、分割出願又は出願変更を行ってから30 日以内に、特許専門機関に実体審査の請求をすることができる。
前2 項の規定により行った審査の請求は取り下げることができない。
第1 項又は第2 項で規定する期間内に実体審査を請求しなかった場合、該発明特許出願は取り下げられたものとみなす。

第39条
前条の審査を請求する場合、申請書を提出しなければならない。
特許専門機関は、審査請求の事実を特許公報に掲載しなければならない。
発明特許出願人以外の者から審査請求が提起された場合、特許専門機関は、その事実を発明特許出願人に通知しなければならない。

第40条
発明特許出願の公開後、特許出願人でないものが商業上の実施を行った場合、特許専門機関は請求により、該特許出願を優先的に審査することができる。
前項の請求をする場合、関係証明書類を提出しなければならない。
←戻る