中華民国法律
商標法 (第21条〜第40条)
第21条
中華民国が主催、または認可する国際博覧会にて出展した商品または役務に使用した商標の登録出願について、当該商品または役務の出展日から6 ヶ月以内に出願する場合、その出願日は出展日を基準とする。
前条の規定は、前項の博覧会に基づき優先権を主張するものに、これを準用する。
第22条
二人以上の者が、それぞれ同日に同一または類似の商標について、同一または類似の商品または役務に登録出願を行い、関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあり、出願の先後が判別できないときは、各出願人の協議によりこれを定める。協議が成立しないときは、抽選によりこれを定める。
第23条
商標図案及びその使用に係る指定商品または役務は、出願後に変更することができない。但し、使用に係る指定商品または役務の減縮、若しくは商標図案について実質的な変更でない場合は、この限りでない。
第24条
出願人の名称、住所、代理人またはその他の登録出願事項を変更するときは、商標専属責任機関に変更を申請しなければならない。
第25条
商標登録の出願事項に次の誤りがあるときは、申請または職権により訂正することができる。
1.出願人の名称または住所の誤り。
2.文字用語または清書の誤り。
3.その他明らかな誤り。
前項の訂正申請は、商標の同一性に影響を与えたり、または使用を指定する商品や役務の範囲を拡大してはならない。
第26条
出願人は、商標専属責任機関に対し、使用に係る指定商品または役務を二以上の出願に分割することを請求することができ、分割後の出願日は原登録出願日とする。
第27条
商標登録の出願により生じた権利は、他人に移転することができる。
第28条
共有商標の出願権または共有者の持分の移転は、全共有者の同意を得なければならない。但し、相続、強制執行、裁判所の判決またはその他法律の規定に基づき移転するものは、この限りではない。
共有商標の出願権放棄は、全共有者の同意を得なければならない。但し、各共有者がその持分を放棄する場合は、この限りでない。
前項の共有者が自分の持分を放棄する場合、その持分は他の共有者により持分の比率に応じて分配する。
前項の規定は、共有者が死亡して相続人がいない、または消滅後に引受人がいない場合、これを準用する。
共有商標の出願権の指定商品、役務の減縮または分割は、全共有者の同意を経なければならない。
第29条
商標は、次に掲げる識別性を有していない事情があるとき、登録を受けることができない。
1.指定商品や役務の品質、用途、原料、産地又は関連する特性のみを描写する説明で構成されたもの。
2.指定商品や役務の慣用標章または名称のみで構成されたもの。
3.その他、識別性を具えない標識のみで構成されたもの。
前項第1 号または第3 号の規定に該当するが、出願人が使用し、且つ取引上で既に出願人の商品または役務を識別する標識となっているものは、これを適用しない。
商標図案に識別性を具えない部分が含まれ、なお且つ、商標権の範囲について疑義が生じるおそれがあるとき、出願人は当該部分について専用しないことを声明しなければならない。専用しない旨を声明しない場合、登録することができない。
第30条
商標が次に掲げる事情の一に該当するときは、登録することができない。
1.商品または役務の機能を発揮するためにのみ必要なもの。
2.中華民国の国旗、国章、国璽、軍旗、軍章、官印、勲章または外国の国旗、またはWTO加盟国がパリ条約第6 条の3第3 号により通知した外国紋章、国璽または国章と同一または類似しているもの。
3.国父(孫文)または国家元首の肖像または氏名と同一のもの。
4.中華民国政府機関またはその主催する博覧会の標章、またはそれが授与する褒章等と同一または類似のもの。
5.国際的な政府組織または国内外の著名、且つ公益性の有る組織の徽章、旗、その他の記章、略語、または名称と同一または類似していて、公衆が誤認、誤信するおそれがあるもの。
6.国内外で品質管理または検証を表すのに用いる国家の標識、またはマークと同一または類似し、且つ同一または類似の商品または役務に使用を指定しているもの。
7.公序良俗を害するもの。
8.商品または役務の性質、品質または産地について公衆に誤認、誤信させるおそれがあるもの。
9.中華民国または外国のワインまたは蒸留酒の産地表示と同一または類似し、なお且つワインまたは蒸留酒と同一または類似の商品において使用を指定し、更に当該外国と中華民国が協定を締結しているか、またはいずれも国際条約に参加しているか、またはワインまたは蒸留酒の地理表示の保護を相互に承認しているもの。
10.他人の商品、役務が同一または類似の登録商標、若しくは先に出願された商標と同一または類似しており、関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるもの。但し、当該登録商標または先に出願された商標の所有者の同意を得て出願し、且つ、明らかに不当でないものは、この限りでない。
11.他人の著名な商標または標章と同一または類似し、関連する公衆に誤認混同を生じさせるおそれがある、または著名商標または標章の識別性または信用・名声に損害を生じさせるおそれがあるもの。但し、当該商標または標章の所有者の同意を得て登録出願するときはこの限りでない 。
12.他人が先に使用している同一または類似の商品、役務の商標と同一または類似しており、出願人が当該他人との間に契約、地縁、業務取引またはその他の関係を有することにより、他人の商標の存在を知っており、意図的に模倣、登録出願したもの。但し、その同意を得て登録出願する場合は、この限りでない。
13.他人の肖像または著名な氏名、芸名、ペンネーム、屋号があるもの。但し、その同意を得て登録出願するときは、この限りでない。
14.著名な法人、商号またはその他の団体の名称があり、関連する公衆に誤認混同を生じさせるおそれのあるもの。但し、その同意を得て登録出願するときは、この限りでない。
15.商標が他人の著作権、特許権またはその他の権利を侵害しており、判決を経てそれが確定したもの。但し、その同意を得て登録出願するときは、この限りでない。
前項第9 号及び第11 号から第14 号までに規定する地理表示、著名及び先使用の認定は、出願時を基準とする。
第1 項第4 号、第5 号及び第9 号の規定は、政府機関または関連する機関が出願人であるときは、適用しない。
前条第3 項の規定は、第1 項第1 号が規定する事情に準用する。
第31条
商標登録出願が審査を経て、第29 条第1 項、第3 項、前条第1 項、第4 項または第65 条第3項により、登録することができない事情があると認められたときは、拒絶査定としなければならない。
前項の拒絶査定前に、拒絶査定理由を書面で出願人に通知し、期限を定めて意見を陳述させなければならない。
指定商品または役務の減縮や、商標図案の実質的変更でないもの、登録出願の分割及び専用しない旨の声明は、拒絶査定前にこれを行わなければならない。
第32条
商標登録出願が審査を経て前条第1 項の規定に該当しないと認められたときは、登録査定としなければならない。
登録査定を受けた商標については、出願人が査定書の送達日から2 ヶ月以内に登録料を納付しなければならず、登録料を納付後、初めて登録公告がなされ、商標登録証が発行される。期間内に納付していないものは、登録は公告されない。
出願人の故意ではなく、前項所定の期限内に登録料を納付していない場合、納付期間終了後6 ヶ月以内に2 倍の登録料を納付すれば、商標専属責任機関により公告される。但し、第三者によるこの期間内の登録出願または商標権の取得に影響する場合は、これを行うことができない。
第33条
商標は登録公告の日よりその権利者が商標権を取得し、商標権の存続期間は10 年とする。
商標権の存続期間は更新登録することができ、一回ごとの更新は10 年とする。
第34条
商標権の更新は商標権の存続期間満了前の6カ月以内に申請を提出し、更新登録料を納付しなければならない。商標権存続期間終了後6 ヶ月以内に申請を提出するときは、更新登録料を2 倍納付しなければならない。
前項の更新登録期間は、商標権の存続期間が満了した日から起算される。
第35条
商標権者は登録を経てその指定商品または役務について商標権を取得する。
商本法第36 条で別途規定する場合を除き、次に掲げる事情ついては、商標権者の同意を得なければならない。
1.同一の商品または役務について、登録商標と同一の商標を使用するとき。
2.類似の商品または役務について、登録商標と同一の商標を使用し、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがあるとき。
3.同一または類似の商品または役務について、登録商標と類似の商標を使用し、関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるとき。
商標が登録されたものは、登録商標または国際的に通用する登録記号を明記することができる。
第36条
次に掲げる事情は、他人の商標権の効力に拘束されない。
1.商業取引慣例に合致する誠実且つ信用できる方法で、自己の氏名、名称、またはその商品または役務の名称、形状、品質、性質、特性、用途、産地またはその他商品または役務自体の説明を表示するもので、商標として使用されていないもの。
2.商品または役務の機能を発揮するために必要なもの。
3.他人の商標の登録出願日より前に、善意で同一または類似の商標を同一または類似の商品または役務に使用しているもの。但し、それは原使用の商品または役務に限られる。その際、商標権者は適当な区別表示を付記するよう要求することができる。
登録商標を付した商品が、商標権者またはその同意を得た者により国内外の市場において流通取引されたとき、商標権者は当該商品について商標権を主張することができない。但し、商品が市場に流通した後に、商品の変質、破損の発生を防止するため、またはその他正当な事由があるものはこの限りでない。
第37条
商標権者は、登録商標が指定する商品または役務について、商標専属責任機関に商標権の分割を出願することができる。
第38条
商標図案及びその使用指定商品または役務は、登録後に変更することができない。但し、使用指定商品または役務の減縮はこの限りでない。
商標登録事項の変更または訂正は、第24 条及び第25 条の規定を準用する。
登録商標が異議申立、無効審判または撤回案件にかかわるときに、商標権の分割または使用指定商品または役務の減縮を申請する場合は、処分前に行わなければならない。
第39条
商標権者は、その登録商標の指定商品または役務の全部または一部について、地区を指定して専用使用権または非専用使用権を許諾することができる。
前項の使用許諾について、商標専属責任機関に登記していないものは、第三者に対抗することができない。
使用許諾の登記後に商標権が移転される場合、その使用許諾契約は譲受人に対し引き続き有効に存続する。
非専用使用権の許諾を登記した後に、商標権者が更に専用使用権の許諾を登記するとき、先行する非専用使用権許諾は影響を受けない。
専用使用権者は許諾を受けた範囲内で、商標権者及び第三者の登録商標使用を排除することができる。
商標権が侵害を受けたとき、専用使用権の許諾範囲内において、専用使用権者は、自己の名義を以って権利を行使することができる。但し、契約に別途約定があるものは、その約定に従う。
第40条
専用使用権者は、許諾範囲内において他人に使用を再許諾することができる。但し、契約に別途約定があるものはその約定に従う。
専用使用権者ではない者は商標権者または専用使用権者の同意を得ずに、他人に使用を再許諾することができない。
再許諾が、商標専属責任機関に登記していない場合、第三者に対抗することができない。