中華民国法律
商標法 (第61条〜第80条)
第61条
無効審判案件の処分後は、何人も、同一の事実について、同一の証拠及び同一の理由をもって、無効審判を請求することができない。
第62条
第48 条第2 項、第3 項、第49 条から第53条まで、及び第55 条の規定は、商標の無効審判において準用する。
第63条
商標登録後に次に掲げる事情の一に該当するものは、商標専属責任機関が職権または請求によりその登録を撤回(取消)しなければならない。
1.自ら商標を変更しまたは付記を加えたことにより、同一または類似の商品または役務において、他人が使用する登録商標と同一または類似を構成し、関連する消費者に混同誤認のおそれを生じさせるとき。
2.正当な事由なくして未使用または使用の停止が継続して3 年経過したもの。但し、使用権者が使用しているときは、この限りでない。
3.第43 条の規定に反し、適当な区別標示を付け加えないとき。但し、商標専属責任機関が処分する前に区別標示を付加し、誤認混同を生じさせるおそれがないときは、この限りでない。
4.商標が既に指定商品または役務の慣用標章、名称または形状となっているとき。
5.商標の実際使用時に、公衆にその商品または役務の性質、品質または産地を誤認誤信させるおそれがあるとき。 使用権者が前項第1 号の行為をなし、商標権者が明らかに知っていた、または知ることができるのに、反対を示さないときも同様とする。
第1 項第2 号の規定に該当し、撤回請求時に当該登録商標が使用されているときは、他人による撤回請求を知って、撤回請求前の3 ヶ月以内に使用を開始したものを除き、その登録を撤回しない。
撤回事由が登録商標の指定商品または役務の一部のみに存在するときは、当該部分の商品または役務についてその登録を撤回することができる。
第64条
商標権者が実際に使用している商標が登録商標と異なっているが、一般的な社会通念でその同一性を失っていない場合、その登録商標を使用しているものと認める。
第65条
商標専属責任機関は撤回(取消)請求の旨を商標権者へ通知し、並びに期限を定めて答弁させなければならない。商標権者が答弁書を提出したとき、商標専属責任機関は答弁書を請求人に送達し、期限を定めて意見を陳述させなければならない。但し、請求人の請求が具体的な事実及び証拠を有さず、またはその主張に明らかに理由のないときは、その請求を棄却することができる。
第63 条第1 項第2 号に規定の事情に該当し、答弁通知が送達されたとき、商標権者はその使用の事実を証明しなければならず、期間内に答弁しないものは、その登録を撤回することができる。
登録商標が第63 条第1 項第1 号に規定に該当し、その登録が撤回されたとき、原商標権者は撤回日後3 年間、原商標図案と同一または類似の商品または役務において同一または類似の商標を登録出願したり、譲り受け或いは使用権の許諾を受けることができない。商標専属責任機関の処分前においてその商標権の放棄を声明したものも同様とする。
第66条
商標登録後における撤回(取消)事由の有無については、撤回請求時の規定を適用する。
第67条
第48 条第2 項、第3 項、第49 条第1 項、第3 項、第52 条及び第53 条の規定は、撤回(取消)案件の審査において準用する。
登録商標が第63 条第1 項第1 号の規定により撤回請求するときは、第57 条第2 項及び第3 項の規定を準用する。
商標権者が第65 条第2 項に基づき、使用の証拠を提出するときは、第57 条第3 項の規定を準用する。
第68条
商標権者の同意を得ず、販売の目的で、次に掲げる各号の一の事情がある場合、商標権を侵害するものとする。
1.同一商品または役務において、登録商標と同一の商標を使用したもの。
2.類似の商品または役務において、登録商標と同一の商標を使用し、関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるとき。
3.同一または類似の商品または役務において、登録商標と類似の商標を使用したことにより、関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるとき
第69条
商標権者は、その商標権を侵害したものに対し、その除去を請求することができ、侵害のおそれがあるときは、その防止を請求することができる。
商標権者が前項の規定に基づき請求するとき、商標権侵害に係る物品及び侵害行為に用いられた原料または器具について、廃棄するよう請求することができる。但し、裁判所は侵害の程度及び第三者の利益を斟酌してから、その他の必要な処置を行うことができる。
商標権者は、故意または過失によりその商標権を侵害されたときに、損害賠償を請求することができる。
前項の損害賠償請求権は、請求権者が損害及び賠償義務者の存在を知ったときより2 年間行使しない場合に消滅し、侵害行為があったときより10 年経過したものも同様である。
第70条
商標権者の同意を得ず、次に掲げる事情の一がある場合、商標権を侵害するものとみなす。
1.他人の著名な登録商標であることを明らかに知りながら、同一または類似の商標を使用して、当該商標の識別性または信用・名声に損害を生じさせるおそれがあるとき。
2.他人の著名な登録商標であることを明らかに知りながら、当該著名商標にある文字を、自らの会社、商号、団体、ドメインネームまたはその他営業主体を表す名称として、関連消費者に誤認混同を生じさせるおそれがある、または当該商標の識別性または信用・名声に損害を生じさせるおそれがあるとき。
3.第68 条の商標権侵害となるおそれがあることを明らかに知りながら、まだ商品または役務と結びついていないラベル、タグ、包装容器、または役務と関係のある物品を製造、所持、陳列、販売、輸出または輸入したとき。
第71条
商標権者が損害賠償を請求するときは、次の各号に掲げる一を選択してその損害を計算することができる。
1.民法第216 条の規定による。但し、その損害を証明するための証拠方法を提供できないとき、商標権者はその登録商標を使用することにより通常得られる利益から、侵害された後に同一の商標の使用して得た利益を差し引いた差額をもって損害を受けた額とすることができる。
2.商標権侵害行為により得た利益による。商標権侵害者がその原価または必要経費を挙証できないときは、当該商品を販売した収入の全部をその所得利益とする。
3.押収した商標権侵害に係る商品の販売単価の1500 倍以下の金額を損害額とする。但し、押収した商品が1500 点を超えるときは、その総額で賠償金額を定める。
4.商標権者が他人に使用許諾して受取るロイヤリティに相当する金額をもって、その損害額とする。
前項の賠償金額が明らかに相当しないときは、裁判所がこれを斟酌して減額することができる。
第72条
商標権者は、輸入または輸出される物品がその商標権を侵害するおそれがあるとき、税関に予め差止めを申請することができる。
前項の申請は、書面を以って行い、侵害事実を釈明しなければならず、税関が算出した当該輸入貨物のCIF 価格または輸出貨物のFOB 価格に相当する保証金または相当の担保を提供する。
税関が差止申請を受理したときは、速やかに申請人へ通知しなければならない。前項の規定に合致すると認定し、差止めを実施するときは、書面を以って申請人及び差止めを受ける者へ通知しなければならない。
差止めを受ける者は、第2 項の保証金額の倍額の保証金または相当の担保を提供し、税関へ差押止めの取消並びに輸出入貨物の通関に関する規定に基づく処理を申請することができる。
差止め物品について、申請人が裁判所により確定判決を受けると、商標権侵害品となり、差止めを受けた者は差止め物品のコンテナのデマレージ(超過保管料)、倉敷料、積み卸し費用等の関連費用を負担しなければならない。
第73条
次に掲げる事情の一に該当するものについて、税関は差止めを取り消さなければならない。
1.申請人が税関から差止め受理の通知を受けた日の翌日から12 日以内に、第69 条の規定により差止めた物を侵害物として訴訟を提起せず、税関に通知しなかったとき。
2.申請人が差止めた物を侵害物として訴訟を提起したが、裁判所の決定により棄却が確定したとき。
3.差止めた物が裁判所による確定判決を経て、商標権侵害品ではないとされたとき。
4.申請人が差止めの取消を申請したとき。
5.前条第4 項の規定に該当するとき。
前項第1 号に規定する期限は、税関が必要により12 日間延長をすることができる。
税関が第1 項の規定により差止めを取り消すときは、輸出入貨物の通関に関する規定により取り扱わなければならない。
第1 項第1 号から第4 号の事由により差止めを取り消す場合、申請人は差止めた物のコンテナのデマレージ(超過保管料)、倉敷料、積み卸し費用等の関連費用を負担しなければならない。
第74条
差止めた物が裁判所の判決を経て商標権侵害品ではないと確定したとき、申請人は、差止めを受けた者が差止められたことにより、または第72 条第4 項の規定による保証金の提供により受けた損害を賠償しなければならない。
申請人は第72 条第4 項に規定の保証金について、差止めを受けた者は第72 条第2 項に規定の保証金について、質権者と同一の権利を有する。ただし、前条第4 項及び第72 条第5 項に規定するコンテナのデマレージ(超過保管料)、倉敷料、積み卸し費用等の関連費用は、申請人または差止めを受けた者に対する損害補償よりも優先する。
次に掲げる事情の一に該当するとき、税関は申請人の申請により第72 条第2 に規定する保証金を返還しなければならない。
1.申請人が勝訴の確定判決を受けたか、または差止めを受けた者と和解が成立し、既に保証金の提供を継続する必要がなくなったとき。
2.前条第1 項第1 号から第4 号までに規定の事由により差止めが取り消され、差止めを受けた者が損害をこうむるに至った後、または差止めを受けた者が勝訴の確定判決を受けた後、申請人が20 日以上の期間を定め差止めを受けた者へ権利行使を催告しても行使しなかったことを証明したとき。
3.差止めを受けた者が返還に同意したとき。次に掲げる事情の一に該当するとき、税関は差止めを受けた者の申請により、第72 条第4項に規定する保証金を返還しなければならない。
一、前条第1 項第1 号から第4 号までに規定の事由により差止めが取り消されたか、
または差止めを受けた者と申請人との和解が成立し、すでに保証金の提供を継続する
必要がなくなったとき。
二、申請人が勝訴の確定判決を受けた後、差止めを受けた者が20 日以上の期間を定め申請人へ
権利行使を催告しても行使しなかったことを証明したとき。
三、申請人が返還に同意したとき。
第75条
税関が職務執行中において、輸入または輸出物品に明らかに商標権侵害のおそれがあることを発見したときは、商標権者及び輸出入者に通知しなければならない。
税関が前項の通知を行うときは、商標権者に税関に出向いて認定するよう期限を定めて求め、並びに権利侵害の事実証拠を提出させなければならない。同時に期限を定めて、輸出入者に権利侵害していないことの証明書類を提出させなければならない。但し、商標権者または輸出入者に正当な理由があって指定期限内に提出できないときは、書面で理由を釈明して税関に延長を申請することができるが、これは一回限りとする。
すでに商標権者が権利侵害の事実証拠を提出したのにもかかわらず、輸出入者が前項に規定する権利侵害がないことの証明書類の提出をしない場合、税関は暫定的に、通関させない措置をとることができる。
商標権者が権利侵害の事実証拠を提出したが、輸出入者も第2 項の規定に基づき権利侵害がないことを証明する書類を提出した場合、税関は商標権者に対し、通知のときから3 作業日以内に、第72 条第1 項の規定に基づき差止め申請するよう通知しなければならない。
商標権者が前項に規定する期限内に、第72条第1 項の規定に従った差止め申請をしない場合、税関は代表的なサンプルを取り出してから、物品を通関させることができる。
第76条
税関は対象の差止めた物の機密資料保護を損なわない事情の下で、第72 条に定める申請人または差止めを受けた者または前条に定める商標権者または輸出入者の申請に応じ、その差止めた物の検視に同意することができる。
税関が第72 条第3 項の規定に基づき差止めを実施したり、または前条第3 項の規定に基づき、暫定的に通関させない措置をとってから、商標権者は税関に関連資料の提供を申請することができる。税関の同意後に、輸出入者、荷受人や出荷人の氏名または名称、住所及び被疑侵害品の数量を提供する。
商標権者が前項の規定に基づき入手した情報は、商標権侵害案件の調査及び訴訟提起の目的の使用のみに限られ、任意に第三者に漏洩してはならない。
第77条
商標権者は、第75 条第2 項の規定に従って権利侵害を認定するとき、税関によって算出された輸入貨物見本の課税価格及び関連する税金、または税関が算出した輸出貨物見本のFOB 価格及び関連する税金の120%に相当する保証金を納付して、税関に貨物見本の貸出申請を行い、認定を行うことができる。但し、貨物見本を借受けて認定する必要性があり、且つ商標権者が書面で輸出入者の利益を侵害しない、不正な用途に使用しない旨を誓約した場合に限る。
前項の保証金はNT$3,000 を下回ってはならない。
商標権者が第75 条第2 項に定める権利侵害認定の事実証拠の提出期限内に借り受けた貨物見本を返還しないか、または返還した貨物見本と元の貨物見本が一致しない、または欠損等の事情が生じたとき、税関はその保証金を留置して、輸出入者の損害を賠償しなければならない。
貨物見本の輸出入者は、前項により規定の留置した保証金について、質権者と同一の権利を有する。
第78条
第72 条から第74 条までに規定する差止め申請、差止取消、保証金または担保の納付、提供と返還の手続、必要書類及びその他の遵守事項にかかる規定については、主務機関が財政部と共にこれを定める。
第75 条から第77 条に規定の税関により執行する商標権保護措置、権利者により申請する差止めた物の検視、権利侵害貨物の関連情報の提供申請、及び貨物見本の貸出申請について、その手続、必要書類及びその他関連事項の規定は財政部がこれを定める。
第79条
裁判所は商標訴訟案件を処理するために、専門の法廷を設立し、または専任者を指定して処理することができる。
第80条
証明標章とは、証明標章権者がこれを用いることにより、他人の商品または役務の特定の品質、精密度、原料、製造方法、産地またはその他の事項を証明するものであり、並びにこれを以って未証明の商品または役務と区別する標識である。
前項の産地を証明するものは、当該地理区域の商品または役務が、特定の品質、名声またはその他の特性を有していなければならない。証明標章の出願人は当該地理の名称を含むか、または当該地理区域を十分に示すことができる標識を産地証明標章として登録出願することができる。
主務機関は中央目的事業主務機関と共同で、経営困難な産業、経営困難に瀕している産業及び伝統産業を指導、補助し、生産力及び製品品質を向上させるとともに、各当該産業別にその原産地について台湾製造であるとの証明標章を設けなければならない。
前項産業の認定及び指導、補助の対象、基準、期間及び遵守事項などについては、主務機関が各当該中央目的事業主務機関と協議してから定め、必要時に、証明標章の関連政府料金を免除することができる。